身体的及び生殖的な統合性への女性の権利、並びに〈セックス〉による分類を「ジェンダー・アイデンティティ」に
よる分類に置き換えた結果及び「代理」母及び関連する慣行の結果として生じる女性及び女児に対するあらゆる形態
の差別の撤廃を含む、女性の〈セックス〉に基づく権利の再確認に関する宣言。
はじめに
この宣言は、1979 年 12 月 18 日に国連総会で採択された「女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」
(CEDAW)に定められ、「CEDAW 一般勧告」でさらに発展され、特に 1993 年の「女性に対する暴力の撤廃に関す
る国連宣言」(UNDEVW)で採択された女性の〈セックス〉に基づく権利を再確認するものである。
CEDAW の第 1 条は、女性に対する差別を、「〈セックス〉を基礎とした区別,排除又は制限であって,政治的,経済
的,社会的,文化的,市民的その他のいかなる分野においても,女性(婚姻状態を問わない)が男女の平等を基礎と
した人権及び基本的自由を認識し,享有し又は行使することを損ねる又は無効にする効果又は目的を有するもの」と
定義づけている。
〈セックス〉は国連によって「男性と女性を区別する身体的及び生物学的特徴」と定義づけられている。(Gender Equality Glossary, UN Women)
CEDAW は、「女性差別を構成する既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正又は廃止するための立法を含むすべての
適切な措置をとる」こと(第 2 条(f))、及び、あらゆる分野において、「女性に対して男性との平等を基礎として人
権及び基本的自由を行使及び享有することを保障する目的で、女性の全面的な能力の開発及び向上を確保するための
立法を含む適切な措置」をとること(第 3 条)を締約国に義務付けている。
人権の分野では、典型化された男女の役割は女性差別の根幹であり、撤廃しなければならないと長年理解されてき
た。
CEDAW 第 5 条では次のように定めている。
「締約国家は、次の目的のためのすべての適切な措置を講じる:
(a) 両性のいずれかの劣等性若しくは優越性の観念又は男女の定型化された役割に基づく偏見及び慣習その他あ
らゆる慣行の撤廃を実現するため、男女の社会的及び文化的な行動様式を修正すること。
ジェンダーとは「特定の社会で特定の時代に男性及び女性にふさわしいと考えられている役割、態度、行動、特性…
である。これらの特性や機会、関係性は社会的に構築され、社会化の過程において学習される。」(Gender Equality Glossary, UN Women)
国連の文書、戦略、活動において、生物学的な〈セックス〉の分類を典型化された性別役割を指す「ジェンダー」と
いう言葉に置き換えるようになったことから混乱が生じており、究極的には女性の人権擁護に支障が生じる恐れもあ
る。
〈セックス〉と「ジェンダー」を混同することで、生得的な「ジェンダー・アイデンティティ」という観念が受け入
れやすくなり、かかる「アイデンティティ」を守る権利が唱道されるようになったことで、究極的には女性が何十年
もかけて勝ち取ってきた権利が侵されることになる。国際文書に「ジェンダー・アイデンティティ」や「性的指向性
と性同一性(SOGIEs《Sexual Orientation and Gender Identity and Expression》」といった概念が組み込まれるこ
とによって、〈セックス〉に基づいて獲得されてきた女性の権利はむしばまれつつある。
性的指向の権利は、同性に性的に惹かれる人に対する差別をなくすために必要である。性的指向に関する権利は女性
の〈セックス〉に基づく権利と両立するものであり、他の女性に性的に惹かれるレズビアンの女性が自らの〈セック
ス〉に基づく権利を完全に行使できるようにするためにも必要である。
しかしながら、「ジェンダー・アイデンティティ」という概念は、女性の不平等を体系づけ維持している社会的に構
築された典型を本質的且つ生得的な条件としているため、女性の〈セックス〉に基づく権利がむしばまれてしまう。
たとえば、ジョグジャカルタの原則では次のように定めている:
「性同一性とは、出生時に判別された〈セックス〉と対応する若しくは対応しない各個人の深部で感じられた内的で
個人的なジェンダーの経験を指すものと理解されており、そこには個人的な身体感覚(自由に選択される限りにおい
ての医学的、外科学的又はその他の手段による身体の外観又は機能の変更も含む)並びに服装、話法、振る舞いなど
を始めとするジェンダーの表現も含まれる。」(「性的指向並びに性同一性に関連した国際人権法の適用上のジョグジ
ャカルタ原則」、2007 年 3 月)。
個人が自分の選んだ服を着たり自分らしさを表現したりする権利は、女性の〈セックス〉に基づく権利と両立する。
ただし、「ジェンダー・アイデンティティ」の概念の登場により、トランス女性*
iたちは、法的に、政策的に、及び
事実上も、本来〈セックス〉に基づく分類である「女性」の一員であると主張できるようになっている。
CEDAW 一般勧告第 35 号では、「条約第 2 条に基づく締約国の中核的義務に関する一般勧告第 28 号及び女性の司法
アクセスに関する一般勧告第 33 号により、女性に対する差別はその生活に影響を与える他の要因と密接に関連して
いることが確認されている。委員会の法律部門では、これらの要因に…レズビアンであることが含まれうることを強
調している」(II、12)。
「ジェンダー・アイデンティティ」の概念は、自らの性的指向を「ジェンダー・アイデンティティ」ではなく〈セッ
クス〉に基づいて定義している人々の権利に挑戦するために使われており、女性の「ジェンダー・アイデンティテ
ィ」を有すると主張する男性たち(以下、トランス女性とする)に、〈セックス〉に基づいた分類であるレズビアン の一員だと主張することを可能にしている。これではレズビアンの〈セックス〉に基づく権利はむしばまれるし、女 性に対する差別の一形態にもなる。 トランス女性の中には、法的に母親としての地位を得ることを求めている人々がいる。CEDAW は、母性の権利及
び「母性の社会的重要性」を重視している。母性に与えられる権利やサービスは、妊娠して子供を産むという女性特
有の能力に基づいている。トランス女性に法的な母親の地位を与えてしまうのでは、母性の社会的重要性が弱ま り、CEDAW が規定する母性の権利がむしばまれてしまう。 「北京宣言及び行動綱領」(1995)では、次のように定めている。 「すべての女性の健康のあらゆる側面、殊に自らの出産数を管理する権利を明確に認め再確認することは、女性のエ 3 ンパワーメントの基本である。」 (付属書 1、17) 女性の生殖能力を搾取し商品化する「代理」母の利用によって、この権利はむしばまれてしまう。さらに男性の妊娠 及び出産を実現することを目的とした医学研究も、女性の生殖能力の搾取と商品化によって支えられている。トラン ス女性に、女性やレズビアン、母親といった法的地位を与えてしまうのでは、女性である、レズビアンである、母
親であるといった立場を支えている生物学的現実を否定することになるため、そのような分類をすることの意味がす
べて失われてしまう恐れがある。
「ジェンダー・アイデンティティ」の概念を推進する団体によって、女性や女児が〈セックス〉に基づいて自分自身
を定義し、同じ〈セックス〉の者として共通の関心に基づいて集まり、組織を作る権利は挑戦されている。前記に
は、「ジェンダー・アイデンティティ」ではなく〈セックス〉に基づいて自身の性的指向を定義し、共通の性的指向
に基づいて集会及び組織化するレズビアンの権利に対する挑戦も含まれる。
多くの国々の国家機関、公的機関及び民間団体で、〈セックス〉ではなく「ジェンダー・アイデンティティ」に基づ
いて個人を特定し、言及することが強制されつつある。これが広まると様々な形の女性に対する差別に発展し、女性
たちの表現の自由、信教の自由、集会の自由の権利が脅かされる。
トランス女性は、女性のために準備された特別枠や保護制度に手を伸ばしつつある。これは女性に対する差別の一 形態であり、女性たちの安全、尊厳及び平等への基本的権利が脅かされている。 CEDAW の第 7 条は政治や行政における女性差別撤廃措置の重要性を、第 4 条は男女の事実上の平等を促進すること を目的とする暫定的な特別措置の重要性を確認している。トランス女性が、政治や行政への女性の参与を促すため
に設計されたクォータ制及びその他の特別措置の利用を認められるのでは、女性の平等を達成するというかかる特別
措置の目的が危うくなる。
CEDAW の第 10 条(g)では、締約国に対し、女性が男性と同様にスポーツ及び体育に積極的に参加する機会を確
保するよう求めている。女性と男性の間には生理学的差異があるため、女性がこの権利を行使するには、特定のスポ
ーツ活動が〈セックス〉別であることが必要である。トランス女性*が女性のみを対象とするスポーツ活動に参加で
きるようになると、女性たちは競技で不利な立場に置かれ、身体に怪我を負う恐れも高まる。そうなると、女性や女
児が男性と同等のスポーツ参加の機会を得ることが難しくなり、結果として、本来撤廃すべきである女性及び女児に
対する差別の一つになってしまう。
人権の分野では、女性及び女児に対する暴力はすべての国に蔓延している重大な社会的メカニズムの一つであり、そ
れによって、男性に比較して女性が従属的な役目に追い込まれていることは長年理解されていた。
「女性に対する暴力の撤廃に関する国連宣言」では、以下を承認している。
「女性に対する暴力は、男性と女性の間の歴史的に不平等な力関係の現れであり、そこから女性に対する男性の支配
と差別がもたらされ、女性の十全な発達が妨げられる結果になっており、さらに、女性に対する暴力は、女性が男性
に比べて従属的地位に置かれることを余儀なくさせる重大な極めて重大な社会的装置の一つでもある。」
この支配及び差別は〈セックス〉に基づいたもので、「ジェンダー・アイデンティティ」に基づいたものではない。
〈セックス〉の分類と「ジェンダー・アイデンティティ」の分類を融合することは、男性及び男児から女性及び女児
に対して振るわれる暴力から女性及び女児を保護する妨げとなる。自分の「ジェンダー・アイデンティティ」は女性
だと考える男性が、対象を女性のみに限定している被害者支援サービスや空間をサービスの利用者及び提供者として
利用する権利を主張する可能性はますます高まっている。そこにはシェルターや医療施設など、暴力を受けてきた女
性及び女児のみを対象とする専門的サービスも含まれる。さらに、女性及び女児の身体的安全性、健康、プライバシ
ー、尊厳を推進するためには女性に限定された提供が極めて重要であるその他のサービスも含まれる。女性限定の空
間及びサービスに男性が存在することで、女性及び女児を保護するというこれらのサービスの役割が破たんし、女性
としての「ジェンダー・アイデンティティ」をもつと主張している男性の暴力に女性及び女児がさらされてしまうこ
とになりかねない。
CEDAW 一般勧告第 35 号は、女性に対するさまざまな形態の暴力発生率に関するデータを収集し統計を取ること
が、かかる暴力を防止し是正するための効有効な手段の開発に関して重要であることを強調している。
「性別データは、〈セックス〉で交差分類されたデータであり、男性と女性、男児と女児の情報を別々に提示する。
性別データは、社会のあらゆる面における女性と男性並びに女児と男児の役割、実際の状況、一般的な状態を反映し
ている。 性別データが〈セックス〉で分けられていない場合、現実的及び潜在的な不平等を特定することがより困
難になる。」(Gender Equality Glossary, UN Women)。
〈セックス〉と「ジェンダー・アイデンティティ」が融合されることで、暴力の加害者の性を〈セックス〉ではなく
「ジェンダー・アイデンティティ」で特定してしまうと、女性及び女児に対する暴力に関して不正確で誤解を招くよ
うなデータの収集につながる。それでは、女性及び女児に対する暴力の撤廃のために有効な法律、政策、戦略及び行
動の策定に重大な支障をきたすことになる。
〈セックス〉のステレオタイプに適合しない児童や性別違和症候群と診断された児童を「性別適合」させる目的で
「ジェンダー・アイデンティティ」の概念が使われるケースが増えている。二次性徴抑制ホルモンやクロスセックス
ホルモンの投与ならびに施術といった児童の身体的又は精神的健康に長期的な悪影響をもたらす可能性のあるハイリ
スクな医学的介入が、全面的で自由意思による且つ十分な情報に基づく同意を与えうる能力が未発達の段階の児童に
対して行われている。そのような医学的介入は、不妊を始めとする生涯に渡って続く幅広い悪影響を身体的健康並び
に精神的健康に引き起こす可能性がある.
前文*
ii
①国連憲章、世界人権宣言及びその他の国際人権文書、特に国連「女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する
条約」(CEDAW)、及び国連「児童の権利に関する条約」(UNCRC)、並びに国連「女性に対する暴力の撤廃に関す
る宣言」、国連「発展の権利に関する宣言」、国連「先住民族の権利に関する宣言」、欧州評議会「女性に対する暴力
及び家庭内暴力の防止と撲滅に関する条約」(「イスタンブール条約」)、「人と人民の権利に関するアフリカ人権憲章
に基づく女性の権利議定書」(マプト議定書)、及び「女性に対する暴力の予防、処罰及び根絶に関する米州条約」
(ベレン・ド・パラ条約)に定められている男女の平等な権利及び人間としての固有の尊厳並びにその他の目的及び
原則に対するコミットメントを想起し、
②すべての人権及び基本的自由の不可譲、不可欠、且つ不可分な女性及び女児の人権の全面的な行使を保障するコミ
ットメントを再確認し、
③「国際婦人年国際会議」(1975 年、メキシコシティ)、「国連女性の十年」中間年世界会議(1980 年、コペンハー
ゲン)、「国連女性の十年」ナイロビ世界会議(1985 年、ナイロビ)、「世界子供サミット」(1990 年、ニューヨー
ク)、「環境と開発に関する国際連合会議」(1992 年、リオ・デ・ジャネイロ)、「世界人権会議」(1993 年、ウィー
ン)、「国際人口開発会議」(1994 年、カイロ)、「世界社会開発サミット」(1995 年、コペンハーゲン)、及び「世界
女性会議」(1995 年、北京)など、平等、発展、平和の達成を目的としたこれまでの国連世界会議及びサミットで形
成されたコンセンサス及び進展について認識し、
④国連の人権アプローチの最初の数十年間は、女性に対する差別は〈セックス〉に基づくと明らかに理解されていた
ことを認識し、
⑤国連の人権協定、政策、戦略、行動及び文書において、今では「ジェンダー・ステレオタイプ」と呼ばれることが
より一般的になっているセックス・ロール・ステレオタイプは女性及び女児に有害だと認識されていることに留意
し、
⑥セックス・ロール・ステレオタイピングという明確な概念が、ジェンダーという言語が使われるようになった現
在、混乱を来していることを認識し、
⑦「ジェンダー・アイデンティティ」の概念が、拘束力はないものの影響力はある数多くの国際人権文書に組み込ま
れていることを懸念し、
⑧〈セックス〉ではなく「ジェンダー」という言語を使用することで、〈セックス〉のステレオタイプを生得的及び
本質的なものとみなす「ジェンダー・アイデンティティ」の概念が発展することを可能にしたために、これまでに獲
得してきた女性及び女児の権利が侵される基礎が形成されてしまったことに留意し、
⑨トランス女性*が、法律、政策及び慣行において自分は女性の一員であると主張していること、及びこれが女性の
人権が侵される結果になることを懸念し、
⑩トランス女性*が、法律、政策及び慣行において性的指向性は、〈セックス〉ではなく「ジェンダー・アイデンティ
ティ」に基づくべきだと主張していること、及びレズビアンに分類されることを望んでいることによって、〈セック
ス〉に基づくレズビアンの人権がむしばまれる結果になることを懸念し、
⑪トランス女性*の一部が、法律、政策及び慣行において法的な意味での母親に含まれるべきだと主張しているこ
と、及びそのような参入は母性の社会的重要性を低下させ、母性の権利がむしばまれてしまうことを懸念し、
⑫「代理」母を支えている女性の生殖能力の搾取及び商品化を懸念し、
⑬男性の妊娠及び出産を可能にすることを目的とした医学研究を支えている女性の生殖能力の搾取及び商品化を懸念
し、
⑭「ジェンダー・アイデンティティ」の概念を推進する団体が、〈セックス〉ではなく「ジェンダー・アイデンティ
ティ」に基づく個人の特定を強制するために国の機関、公的機関及び民間団体に制裁及び処罰を行使させることによ
り、「ジェンダー・アイデンティティ」に関する意見を保持及び表現する権利を制限しようと試みていることを懸念
し、
⑮〈セックス〉に基づく女性及び女児がトランス女性*を交えることなく集会及び結社する権利を脅かすために、「ジ
ェンダー・アイデンティティ」の概念が使用されていることを懸念し、
⑯レズビアンが性的指向を〈セックス〉に基づいて定義し、共通の性的指向に基づいてトランス女性*を交えること
なく集会及び結社する権利を脅かすために、「ジェンダー・アイデンティティ」の概念が使用されていることを懸念
し、
⑰トランス女性*及び女性のジェンダーを有すると主張する男児(トランス女児*)を、競技スポーツ及び奨学金を含
み、女性及び女児のために用意された試合及び賞品の対象に含めることは、女性及び女児に対する差別にあたること
を懸念し、
⑱〈セックス〉と「ジェンダー・アイデンティティ」が融合されることで、特に雇用、同一賃金、政治参加、及び国
家資金の分配に関連する法律、政策及び行動を計画する際に使用されるデータが不正確且つ誤解を招くようなものと
して記録されることになり、その結果、女性及び女児に対するあらゆる形態の差別の撤廃、及び社会における女性及
び女児の進出の促進を目的とした有効な措置が妨げられることを懸念し、
⑲「ジェンダー・アイデンティティ」の概念に基づく政策が、国の機関、公共機関及び民間団体によって、被害者支
援サービス及び医療サービスなど、女性に限定されたサービスの提供の存続を脅かすように用いられていることを懸
念し、
⑳「ジェンダー・アイデンティティ」の概念が、女性及び女児の安全、プライバシー及び尊厳を保護し、暴力の被害
を受けた女性及び女児を支援することを目的とした女性限定の空間に、男性及び男児が侵入するのを正当化するため
に使用されていることを懸念し、
㉑〈セックス〉と「ジェンダー・アイデンティティ」が融合されることで、女性及び女児に対する暴力に関して不正
確で誤解を招くようなデータが記録されることになり、かかる暴力の撤廃を目的とした有効な対策を立てにくくなく
なることを懸念し、
㉒「ジェンダー・アイデンティティ」の概念が、レイプ及びその他の性犯罪など〈セックス〉に固有の犯罪における
加害者の性別を曖昧にするために使用され、かかる暴力の撤廃を目的とした有効的な対策が妨げられることを懸念し、
㉓女性及び女児を対象とした〈セックス〉に固有の行動、戦略及び政策が消去されることで、被災地、難民キャンプ
及び刑務所における、並びに施設が男女混合であることで女性及び女児、特に脆弱な立場の女性及び女児の安全、尊
厳及び保護が脅かされるようなすべての文脈における女性限定のサービスの重要性を認識するための、数十年にわた
る国連の努力が水泡に帰してしまうことを懸念し、
㉔「ジェンダー・アイデンティティ」の概念は、西洋のポストモダン及び「クィア理論」という特定の理論から発展
し、影響力のある団体を通じて、現地語に「ジェンダー」という用語が存在せず、その用語の意味が理解されにくい
国も含めて世界中に広められていることを強調し、
㉕国連「児童の権利に関する条約」は、条約の目的上、児童とは 18 歳未満のすべての人間であると述べていること
を認識し、並びに、1959 年の「児童の権利に関する宣言」は以下のとおり:
㉖「児童は、身体的及び精神的に未熟であるため、適切な法的保護を含む特別な保護及び世話を必要とする」と表明
していることを認識し、
㉗国連「児童の権利に関する条約」(第3条)は、児童に関するすべての行動について、児童にとっての最善の利益
を第一に考慮しなければならないと表明していることを認識し、
㉘「ジェンダー・アイデンティティ」の概念が、セックス・ロール・ステレオタイプに適合せず性別違和と診断され
た児童を「性別適合」させる目的で使われるケースが増えていること、二次性徴抑制ホルモンやクロスセックスホル
モンの投与並びに施術といった児童の身体的及び精神的健康に長期的な悪影響をもたらす可能性のあるハイリスクな
医学的介入が児童に対して行われていること、並びに児童は不妊を含め永久的に悪影響が及ぶ可能性のあるかかる医
学的介入について、全面的で自由意思による且つ十分な情報に基づく同意を与えうる能力が未発達であることを考慮
し、
㉙児童に対する二次性徴抑制ホルモンやクロスセックスホルモンの投与及び施術は、CEDAW 一般勧告(第 31 号
V)及び有害慣行に関する UNCRC 一般的意見(18 号)で定義される新たに出現しつつある有害慣行であることを
認識し、
㉚児童に対する二次性徴抑制ホルモンやクロスセックスホルモンの投与及び施術は、有害慣行と判断するための以下
の 4 つの基準に留意するものとし、
(a)これらの慣行は、児童の身体的及び精神的健康に長期的な悪影響を与える可能性があるハイリスクな医療介入
に関し、その児童が全面的で自由意思による且つ十分な情報に基づく同意を与えうる能力が未発達である場合に、2
つの条約に掲げられた個々の児童の尊厳及び統合性を否定し、且つ人権及び基本的自由を侵害するものである。
(b)これらの慣行は、児童に対する差別であり、且つ個人としての児童に対して、身体的、精神的、経済的又は社
会的な危害及び/又は暴力、並びに社会に全面的に参加する能力若しくは自己の真の可能性を全面的に発展させ且つ
開花させる能力を制限することなどの悪影響をもたらす限りで有害である。かかる悪影響には、長期的な身体的及び
精神的な健康の問題、不妊などの健康に対する永久的な悪影響、及び合成ホルモンなどの医薬品に対する長期的な依
存が含まれることもある。
(c) これらはセックス・ロール・ステレオタイプに基づく「ジェンダー・アイデンティティ」の概念から生じたとい
う意味で、セックス、ジェンダー、年齢及びその他の相互に交差しあう要因に基づく女性及び児童に対する男性支配
及び不平等を永続化させる社会的規範によって定められ又は維持されている新たに出現しつつある慣行である。
(d) これらの慣行は、被害者が全面的で自由意思による且つ十分な情報に基づく同意を与えているかどうか又は与え
ることができるかどうかにかかわらず、児童に対して家族、コミュニティの構成員又は社会全体によって強制されて
いる。
㉛一部の拘束力のない国際文書が、児童の人権の問題として、児童は「ナショナル・アイデンティティ(国民意
識)」を有しているのと同様に子供の権利条約第 8 条に基づく保護を必要とする生得的な「ジェンダー・アイデンテ
ィティ」を有していると主張していることに関して、この主張が児童は生まれつき「トランスジェンダー」であると
の客観的な科学的証拠はない意見に基づいていることを懸念して、
第 1 条
女性の権利は〈セックス〉の分類に基づいていることを再確認する
国家は、女性及び女児が差別を受けない権利に関して、「ジェンダー・アイデンティティ」ではなく、〈セックス〉の
分類を重視する状態を維持しなければならない。
(a) 本宣言の目的上、「女性に対する差別」とは、「セックスに基づく区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、
社会的、文化的、市民的及びその他のいかなる分野においても、女性(婚姻状態は問わない)が男女の平等を基礎と
して人権及び基本的自由を認識し、享受し又は行使することを損ねる若しくは無効にする効果又は目的を有するもの」
をいう。(CEDAW 第1条)
国家は、トランス女性*を法律、政策及び慣行において女性の一員だと認めてしまうと、女性の人権は〈セックス〉
に基づいているという認識が損なわれることになり、女性に対する差別となることを理解しなければならない。国家
は、トランス女性*を女性に分類することで、トランス女性*がレズビアンの分類に含まれることになってしまうと、
〈セックス〉に基づくレズビアンの人権という認識が損なわれることになり、結果的に女性に対する差別の一形態と
なることを理解しなければならない。
(b) 国家は、「あらゆる分野、特に、政治的、社会的、経済的及び文化的分野において、女性に対して男性との平等
を基礎として人権及び基本的自由を行使及び享受することを保障することを目的として、女性の全面的な能力の開発
及び向上を確保するためのすべての適切な措置(立法を含む)をとる」(CEDAW 第3条)。
上記には、法律、政策及び慣行において、成人女性を意味する女性の分類、性的指向が他の成人女性に向けられた成
人女性を意味するレズビアンの分類、及び女性の親を意味する母親の分類を維持すること、且つこれらの分類にトラ
ンス女性*は入らないことを含めなければならない。
(c) 国家は、「女性に対するあらゆる形態の差別を非難し、女性に対する差別を撤廃する政策をすべての適切な手段
を用いて且つ遅滞なく追求することに合意」(CEDAW 第 2 条)しなければならない。
上記には、トランス女性*を女性に分類することによる女性に対する差別的な行為及び慣行の撤廃が含まれるべきで
ある。そのような分類は、安全、尊厳及び平等に対する女性の権利を脅かすことになる。
(d) 国家は、「女性」という言葉、「女児」という言葉、及び女性の身体の一部や〈セックス〉に基づいた身体機能を
指すのに伝統的に使われてきた用語が、憲法、法律、 サービス提供、及び政策文書において女性の〈セックス〉を
指す場合に引き続き使用されることを確認すべきである。「女性」という言葉の意味を、男性も含まれるように変更
してはならない。
第2条
完全に女性のみに限定された地位としての母性の特質を再確認する
(a) CEDAW は「母性の社会的重要性」を強調しており、第 12 条(2)で「締約国家は、女性に対し、妊娠、分べ
ん及び産後の期間中の適切なサービスを確保する」と表明している。
(b) 母性の権利及び周産期サービスは、妊娠と出産という女性特有の能力に基づいたものである。男女を区別する身
体的及び生物学的特性のため、女性の生殖能力をトランス女性*は共有できない。国家は、トランス女性*に法律、政
策及び慣行において法律上の母親としての地位を与えることや、同様に男性としての「ジェンダー・アイデンティテ
ィ」を持つと主張する女性(トランス男性*とする)に父親の地位を与えることは、 母親としての女性特有の地位及
び〈セックス〉に基づく権利を剥奪しようとすることになり、女性に対する差別となることを理解しなければならな
い。
(c) 国家は、「母親」という言葉、及び〈セックス〉に基づく女性の生殖能力を指すために伝統的に使用される他の
言葉が、憲法、法律、周産期サービスの提供、及び政策文書において母親及び母性を示す際に引き続き使用されるこ
とを確認すべきである。「母親」という言葉の意味を、男性も含まれるように変更してはならない。
第 3 条
女性の身体的及び生殖的統合性の権利を再確認する
(a)国家は、女性及び女児の完全なリプロダクティブ・ライツ及び包括的なリプロダクティブ・サービスを確保し、
アクセスが妨げられないことを保障しなければならない。
(b) 国家は、強制妊娠などの有害慣行及び「代理」母に関わる女性の生殖能力の商業的又は利他的な搾取は、女児及
び女性の身体的及び生殖的な統合性の侵害であり、〈セックス〉に基づく差別の形態として撤廃すべきだと認識しな
ければならない。
(c)国家は、男性の妊娠及び出産の実現を目指す医学研究は、女児及び女性の身体的及び生殖的統合性の侵害であ
り、〈セックス〉に基づく差別の一形態として撤廃されるべきだと認識しなければならない。
第 4 条
女性の意見表明の自由及び表現の自由を再確認する
(a)国家は、女性が「干渉されることなく意見を持つ」(「市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)、第
19 条(1))権利を有することを保証しなければならない。前記には、嫌がらせ、訴追又は処罰の対象とされずに、
「ジェンダー・アイデンティティ」に関する意見を持ち表現する権利が含まれなければならない。
(b)国家は、「口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりな
く、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由」(ICCPR、第 19 条(2))を含む、表現の自由に対
する女性の権利を擁護しなければならない。前記には、嫌がらせ、訴追又は処罰の対象とされずに「ジェンダー・ア
イデンティティ」に関する考えを伝達する権利が含まれなければならない。
(c)国家は、すべての文脈において、「ジェンダー・アイデンティティ」ではなく〈セックス〉に基づいて他者を
説明するすべての者の権利を擁護しなければならない。 国家は、〈セックス〉ではなく「ジェンダー・アイデンティ
ティ」に関連する用語の使用を個人に強制する国の機関、公的機関及び民間団体による試みは女性に対する差別の一
形態であることを認識すべきであり、この形態の差別を撤廃する措置を講じなければならない。
(d)国家は、〈セックス〉ではなく「ジェンダー・アイデンティティ」に基づいて他者を特定することを強制する
試みを拒否する者に対するあらゆる形態の制裁、訴追又は処罰を禁止しなければならない。
第 5 条
平和的な集会及び結社の自由への女性の権利を再確認する
国家は、平和的な集会及び他者との結社の自由(ICCPR、第 21 条及び第 22 条)への女性の権利を擁護しなければ
ならない。前記には、トランス女性*を受け入れることなく、女性及び女児が〈セックス〉に基づいた女性又は女児
として集会及び結社する権利並びにレズビアンが共通の性的指向に基づいて集会及び結社する権利が含まれなければ
ならない。
第 6 条
女性が〈セックス〉に基づいて政治に参加する権利を再確認する
(a) 国家は、「自国の政治的及び公的活動における女性に対する差別を撤廃するためのすべての適切な措置を講じる」。
(CEDAW 第7条)
上記には、トランス女性*を女性に分類するという女性に対する差別の形態が含まれなければならない。特に、女性
の投票権、被選挙権、政府政策の策定及びその実施への参加、公職就任、あらゆる公務の遂行、並びに公的及び政治
的活動に関わる非政府組織及び団体への参加についてのアクセスを改善するために取られるすべての措置は、〈セッ
クス〉に基づいて行われるべきであり、トランス女性*を含めることで女性を差別してはならない。
(b)国家は、「締約国が男女の事実上の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置」(CEDAW 第4条)
は、〈セックス〉に基づく女性のみに適用され、トランス女性*を含めることで女性を差別することにならないように
確認しなければならない。
第 7 条
女性が男性と同等のスポーツや体育に積極的に参加する機会を持つ権利を再確認する
CEDAW の第 10 条(g)は、締約国が女児及び女性のために、男児及び男性と「同一のスポーツや体育に積極的に
参加する機会」を確保することを規定している。前記には、女児及び女性が女性のみを対象とするスポーツや体育に
参加する機会の提供が含まれなければならない。女性及び女児に対する公平性及び安全性を確保するために、特に女
性及び女児のために用意されたチーム、競技、施設又は更衣室に、トランス女児*及びトランス女性*が参加又は入室
することは、性差別の一形態として禁止されなければならない。
第 8 条
女性に対する暴力の撤廃を再確認する
(a) 国家は、「利用可能な手段に照らして実行可能な最大の範囲で、必要であれば国際協力の枠組みの範囲内で、暴
力にさらされた女性及び妥当な場合にはその子どもが、リハビリテーション、育児及び生活の支援、治療、カウンセ
リング、保健及び社会的サービス、施設及びプログラム並びに支援組織などの専門的支援を確実に受けられるように
しなくてはならない」。(UNDEVW 第 4 条(g))
これらの措置には、女性及び女児の安全、プライバシー及び尊厳を保障するために、女性に限定したサービス及び物
理的空間の提供を含めなければならない。公共団体であれ民間団体であれ、かかる女性限定の支援の提供は、「ジェ
ンダー・アイデンティティ」ではなく〈セックス〉に基づいて割り当てられるべきであり、スタッフには「ジェンダ
ー・アイデンティティ」ではなく〈セックス〉に基づく女性が配置されなければならない。
(b)女性に限定したサービス提供には、特に、レイプ被害者支援サービス、専門医療施設、専門警察捜査施設、並
びに家庭内虐待又はその他の暴力から逃れてくる女性及び女児のためのシェルターを始めとする暴力被害者の女性及
び女児のための専門サービスが含まれなければならない。さらに、女性及び女児の身体的安全性、プライバシー、尊
厳を保障するために女性に限定したその他すべてのサービスも含めなければならない。上記には、刑務所、医療サー
ビス及び病棟、薬物乱用リハビリセンター、ホームレス用宿泊施設、トイレ、シャワー及び更衣室、並びに個人が居
住し又は脱衣する可能性のあるその他の閉鎖空間が含まれる。女性及び女児のニーズを満たすように設計された女性
専用施設の利用可能性及び質は、男性及び男児に提供される施設と少なくとも同等でなければならない。これらの女
性専用の施設には、トランス女性*を入れてはならない。
(c) 国家は、「女性に対する様々な形態の暴力の蔓延に関する、特に家庭内暴力に関する調査、データ収集、統計編
纂を推進しなければならず、並びに女性に対する暴力の原因、性質、重大性及び結果に関する調査及び女性に対する
暴力を防止し救済するためにとられた措置の有効性に関する調査を奨励しなければならず、これらの統計及び調査の
成果は公表されるものとする。」(UNDEVW 第4条(k))
上記には、女性に対する暴力は〈セックス〉に基づく女性が〈セックス〉に基づく男性よりも相対的に従属的な地位
に追い込まれている極めて重大な社会的装置の一形態であることと、女性及び女児に対する暴力に関して正確な研究
及びデータ収集を行うためには、かかる暴力の加害者と被害者の双方について「ジェンダー・アイデンティティ」で
はなく〈セックス〉に基づいて識別すべきことが認識されなければならない。
「性別データは、〈セックス〉で交差分類されたデータであり、男性と女性、男児と女児の情報を別々に提示する。
性別データは、社会のあらゆる面における女性と男性並びに女児と男児の役割、実際の状況、一般的な状態を反映し
ている。性別データが〈セックス〉で分けられていない場合、現実の及び潜在的な不平等を特定することがより困難
になる。」(Gender Equality Glossary, UN Women)。
(d) 国家は、「世界の社会的状況に関する定期的報告書などの社会的な傾向と課題を取り上げた国連諸機関による分
析に、女性に対する暴力の傾向に関する考察を含むように」(UNDEVW 第 5 条(d))しなければならない。その場
合、女性に対する暴力の加害者及び被害者の身元を警察、検察、裁判所を含むすべての公的機関に記録するに当たっ
て、「ジェンダー・アイデンティティ」ではなく〈セックス〉に基づいて記録されるよう国が要請しなければならな
い。
(e) 国家は、「暴力にさらされた女性が受けた被害について処罰と救済を行うために、刑法、民法、労働法及び行政
処分など国内法上の制裁措置を取らなければならず、暴力にさらされた女性には司法手続きを利用する権利が与えら
れ、且つ国内立法によって規定されているとおり、受けた損害に対する公正且つ実効的な救済策を利用する権利が与
えられねばならず、さらに国家は、かかる手続きを通じて救済を求める権利があることを女性たちに情報提供しなけ
ればならない。」(UNDEVW 第 4 条(d))
上記には、女性及び女児には自分に暴力をふるった者の〈セックス〉を的確に説明する権利があるという認識も含ま
れなければならない。 警察、検察、裁判所などの公的機関は、暴力の被害者に対して、加害者の特徴を説明する際
に〈セックス〉ではなく「ジェンダー・アイデンティティ」に従って説明する義務を課してはならない。
第 9 条
児童の権利擁護の必要性を再確認する
(a) 「児童に関するすべての措置を講じるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は
立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする」。
(UNCRC 第 3 条(1))国家は、児童を「性別適合」させることを目的とした二次性徴抑制ホルモンやクロスセック
スホルモンの投与並びに施術といった医学的介入は、児童の最善の利益にはならないことを認識しなければならな
い。児童は、自分に身体的又は精神的健康に長期的な悪影響をもたらす可能性がある、及び不妊を含め一生残るよう
な悪影響を引き起こす可能性があるかかるハイリスクな医学的介入に対して、全面的で自由意思に基づく且つ十分な
情報に基づく同意を与えうる能力が未発達である。国家は、かかる医学的介入が児童に対して行われることを禁止す
べきである。
(b) 国家は、児童の「性別適合」を目的とした投薬及び施術による医学的介入は、CEDAW 一般勧告(第 31 号 V)
及び UNCRC 一般的意見(18 号)での合同の一般勧告として定義されているとおり、新たに出現しつつある有害慣
行であることを認識しなければならない。」
(c)国家はかかる慣行に関連するデータ収集及び監視プロセスを確立し、それらの撤廃を目的とした法律を制定
し、施行しなければならない。国が提供するサービスには、かかる慣行によって損害を受けた児童に対する法的保護
及び適切なケア、並びに救済及び補償の利用可能性を含めなければならない。
(d)国家は、「到達可能な最高水準の健康を享受すること並びに病気の治療及び健康の回復のための便宜を与えら
れることについての児童の権利を承認」(UNCRC 第 24 条)しなければならない。前記には、「性別適合」治療に効
果を与えるための薬物投与又は施術から児童の健康な身体を保護することが含まれなければならない。
(e)国家は、「児童の養護又は保護を担う施設、サービス及び設備が、特に安全、健康並びに適正な監督の分野に
関しては、当局の設定した基準に適合することを確保」(UNCRC 第 3 条)しなければならない。前記には、児童向
けの保健サービスが「ジェンダー・アイデンティティ」の概念を推進する団体、又は臨床医学の専門知識若しくは児
童心理学の予備知識を持たない後援団体によって影響を受けないようにする予防措置が含まれなければならない。
(f)国家は、「当該児童の発達しつつある能力に適合する方法で、父母若しくは場合によって地元の慣習に従って拡
大家族またはコミュニティーのメンバー、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者が適切な指示及び
指導を与える責任、権利及び義務を尊重」(UNCRC 第 5 条)しなければならない。国家は、国の機関、公的及び民
間の団体、開業医、並びにその他の児童福祉の専門家が親たちに対して、児童の「ジェンダー・アイデンティティ」
の変更を目的とした医療又はその他の介入に関する同意を取り付けることを迫るような行動をとることを禁止しなけ
ればならない。
(g)国家は、「教育についての児童の権利を認めるものとし、しかも、この権利を漸進的に且つ機会の平等を基礎
として達成」(UNCRC 第 28 条)しなければならない。前記には、人間の生態及び生殖に関して実質的に正確な学校
カリキュラムが開発されることへの児童の権利、並びに、児童の発達能力及び心理的発達段階を考慮に入れた上で、
多様な性的指向を持つ人々の人権に関する情報を含めなければならない。
(h)国家は、教師の訓練及び継続的な専門能力開発プログラムに、人間の生態及び生殖に関する正確な教材、並び
に多様な性的指向を持つ人々の人権に関する情報を必ず含めるようにし、かかる情報にはセックス・ステレオタイプ
及び同性愛嫌悪の課題を必ず含めるようにしなければならない。
(i) 前記について、国家は「児童の教育が理解、平和、寛容、両性の平等の精神に従い、自由な社会における責任
ある生活のために児童に準備させること」を指向することを確実にする措置を含めなければならない。(UNCRC 第 29 条)
(j)上記には、女性及び女児に対する差別を広めるセックス・ステレオタイピング及び「ジェンダー・アイデンテ
ィティ」の概念を推進する目的の資金を国庫から教育機関に割り当てないようにする措置が含まれなければならな
い。
(k)国家は、「いずれかの面において児童の福祉を害する他のすべての形態の搾取から児童を保護する」(UNCRC 第 36 条)。前記には、セックス・ロール・ステレオタイプを女児及び男児に押し付ける伝統的な又は新たに出現し
つつある慣行、児童が伝統的なセックス・ロール・ステレオタイプに適合していない場合に「間違った身体に生まれ
た」として行われる診断及び治療、同性に惹かれる女児及び男児を性別違和と特定すること、並びに児童に対する不
妊又はその他の永久的な被害をもたらす可能性のある医療介入の使用の廃止を目的とした、効果的で適切な法的措置
が含まれなければならない。
以上.